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みんなの取組レポート

自然の恵みを生かした取り組みが心を豊かにする

  • 学生レポ
  • 県内企業の取組
  • 取材:山口県立大学〈松尾朋佳、野又歩、徳浪雪乃、吉松浩之〉
  • 協力:阿東つばめ農園

COOL CHOICEな取り組み内容

つばめ農園が最も力を入れているのは、2019年8月から行っている太陽光を利用した「ソーラーシェアリング」という取り組みです。これは農地に高さ2メートル以上の支柱を立てて太陽光発電設備(ソーラーパネル)を設置することで、農業をしながら太陽光発電を行う事業です。農作物に当たる日光の量がどのくらい遮られるかを測る指標「遮光率」は3分の1程度のため、普通の作物であれば何でも育てることが出来ます。現在は創った電気を電力会社に売電していますが、今後は家や地域で使えるようにしていきたいそうです。また、つばめ農園では、電気使用量を削減する取り組みを積極的に行っています。例えば、農業用ハウスの屋根に、1枚320Wのソーラーパネルと自動車用の鉛バッテリーを導入して電力を補っています。この電力を使って農業用ハウスの電灯をつけているほか、停電した時も3日は電気が使えるようになっています。さらに、つばめ農園の近くに「おひさま交流館」という建物があります。おひさま交流館は、誰もが気軽に立ち寄れる交流の場とするために、空き家を利用して作られたそうです。ここでは宿泊しながら自給自足の生活を体験することもできます。例えば使用する電力のほとんどが自家発電で、お風呂もストーブも薪が主力です。新型コロナウイルスが流行する前は毎月多くの人の憩いの場として利用されていました。また、私たちが食べる食材に対し、「誰が作ったのか」だけではなく「どうやって私たちの手元に届いたのか」という視点をもつことも学ぶことができます。普通の生活だと思っていた日常が倫理的でないこと、田舎の生活を体験することで、大都会でなくても暮らしていけることを共有したいという思いがあるそうです。(松尾朋佳)

のどかな風景の中に見える大きなソーラーパネルが印象的でした!

山口県初営農型太陽光発電への取り組み
農薬・除草剤・化学肥料不使用のお米「イセヒカリ」と白大豆「タマホマレ」
阿東つばめ農園を営む安渓さん一家

取り組みをはじめたきっかけ

東日本大震災によって起こった福島第一原子力発電所の事故が、ソーラーシェアリングの大きなきっかけであったそうです。それまで安全かつ環境に優しいとされ、新増設も数多く計画されていた原発が重大事故を起こしました。放射性物質による人体・環境に対する懸念はもとより、東京電力及び東北電力管内の原発すべてが停止し、電力供給量は大幅に低下、計画停電を実施せざるを得ない事態となりました。この事態を受け、安全性に疑問符のついた原子力発電、火力発電などの環境負荷の高いエネルギーからの脱却、ひい ては電力自給の必要性を感じ、 農地の上で 太陽光発電を行うソーラーシェアリングを思 い立ったとのこと。 そして、国内で先駆けてこ の取り組みを行う千葉県の農家へ見学に行 き、つばめ農園での導入を決めたそうです。 (吉松 浩之)

電力自給の必要性を感じたのがきっかけだったそうです。

取り組みにより変わったこと

農業をするにあたって、経済的な安定は一つの課題と言えます。特に、有機農業は気候・自然災害・害虫などの影響によって農作物の収穫量が変わり、収入も変化します。しかし、ソーラーシェアリングを取り入れ、発電した電気を電力会社に売電することで、安定した収入を得られるようになったそうです。経済的な安定は、農業に対する自信につながり、より積極的な姿勢で事業に取り組むことができるようになったとお話されていました。(野又歩)

ソーラーシェアリングの取り組みが地域農業への活力にもつながっていました!

今後の展望

今後の展望として、ソーラーシェアリングで発電された余剰電力を自家消費するだけでなく、緊急時に地域の人々も電気を使えるようにすること、そして、空き家を活用して作った憩いの場「おひさま交流館」を、災害時でもライフラインの心配が無くニコニコと過ごせる避難住宅にすること、精神的・身体的な障がいを持った方と一緒に農業体験をするなどの農福連携の取り組みや、学生を対象にした農業体験に、より一層力を入れることなどを語っていただきました。また、有機農業を地域に広げていくために農地を拡大していくことも計画されているそうです。(徳浪雪乃)

地域の未来日本の未来を考えた将来的な展望を語っていただきました!

クールチョイス編集部農園取材時の様子
園主安渓大慧(あんけいだいえ)さん

心を豊かにすること

今回、つばめ農園・おひさま交流館を訪問し『心の豊かさ』を大切にしていらっしゃると感じました。つばめ農園のソーラーシェアリングだけでなく、空き家を交流館にすることでみんなが集える環境を整え、気楽に自然と向き合うことが出来るようにされていました。ここには地域の方だけではなく、学生も集うことが出来ます。実際に私たちもその空間で心が豊かになる感覚を体験することが出来ました。何が地球に優しい行動なのかを考えようとすると、難しいことのような気がしてしまいますが、自然の中で心の豊かさを大切にすることが地球に優しい賢い選択への一歩なのではないかと感じました。

野又歩
国際文化学部
国際文化学科3年

阿東つばめ農園

農園をはじめた2012年からずっと、農薬も除草剤も化学肥料も使わないで、お米と大豆を育てています。全国のお客様に直接お送りするほか、小学校の米飯給食や幼稚園の味噌づくりなどにも安心・安全をお届けしています。

阿東つばめ農園
山口県山口市阿東徳佐中1694-2
FAX.083-956-0375
http://ankei.blog.jp/

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